- 発症後3時間以内に受診し、頭蓋内出血(または他の禁忌症)のないことが認められている患者には、次の3つのNICE推奨において推奨されたようにアルテプラーゼを用いて治療すること。
- 急性脳卒中の管理に関して訓練を受けた医師や熟練した医師が用いるのであれば、脳梗塞急性期の治療にはアルテプラーゼを推奨する。投与は、市販承認事項に完全に従って用いることができる設備のある施設に限られる*1。
- 投与は、以下によってよく組織化された脳卒中診療科内に限られる:
- 血栓溶解療法の施行および関係する何らかの合併症の監視に対して訓練を受けているスタッフ
- 急性脳卒中および血栓溶解療法に対して訓練を受けているレベル1およびレベル2の看護スタッフによるケア(www.datadictionary.nhs.uk)
- イメージングおよび再イメージングの緊急実施と、画像の解釈に関して適切な訓練を受けているスタッフ
- 血栓溶解後の合併症を含め、血栓溶解療法の実施と管理についてプロトコールを整備すること。
- 救急部門のスタッフは、適切に訓練され、支援されている場合、適切な神経放射線科医および脳卒中専門医の支援により急性脳卒中診療科内で患者を管理できるのであれば、脳梗塞急性期の治療にアルテプラーゼ*2を投与することができる。
- アスピリンが禁忌でない限り、アルテプラーゼによって治療したすべての患者に対して、24時間後にアスピリン300 mg/日の投与を開始すること。
- 急性脳卒中を呈し、脳イメージングによって原発性頭蓋内出血の診断が否定された患者には、できるだけ早く、かつ確実に24時間以内に:
- 嚥下困難でなければ、アスピリン300 mg/日を経口投与する、あるいは
- 嚥下困難であれば、アスピリン300 mg/日を経直腸的に、または経腸チューブによって投与すること。
- アスピリンに関連する消化不良を報告したことがある脳梗塞急性期の患者には、アスピリンに加えてプロトンポンプ阻害薬を投与すること。
- アスピリンに対してアレルギーまたは生まれつき不耐の脳梗塞急性期の患者には、代わりの抗血小板薬を投与すること*3。
- 急性脳卒中の治療に、抗凝固療法をルーチンに*4用いないこと。
- 以下の基準を満たす中大脳動脈(MCA)梗塞の患者には、減圧半頭蓋切開を考慮すること。発症後24時間以内に患者を紹介し、遅くとも48時間以内に治療すること:
- 60歳以下である
- 米国立衛生研究所脳卒中評価尺度(NIHSS)スコアが15を上回る中大脳動脈領域の梗塞を示唆する臨床的欠損がある
- NIHSSの1a項のスコア1以上の意識レベル低下がある
- 同側の前または後脳動脈領域に追加梗塞を伴うか否かに関わらずCTによりMCA領域の50%以上に梗塞が認められる、あるいは拡散強調MRIによって145 cm3より大きな梗塞が認められる。
- 減圧半頭蓋切開のために紹介された患者は、神経学的評価に熟練した適切に訓練された専門医による監視下に置くこと。
- 脳卒中診療科は、症候性水頭症の管理のために地域の神経科施設に対する患者のモニタリング、紹介および移送に関するプロトコールに同意すること。
- 患者は:
- 発症後48時間以内にスタチン剤を開始しないこと、ただし、それ以降は可能である。
- 臨床試験の場合を除き、脳の損傷度を低下させる目的で他の治療を開始しないこと。
- 抗リン脂質抗体症候群を有する脳梗塞急性期の患者は、抗リン脂質抗体症候群のない脳梗塞急性期のの患者と同じ様式で管理すること*5。
| *1: | これはNICE Technology Appraisal Guidance 122、急性脳梗塞の治療に対するアルテプラーゼからの推奨である(www.nice.org.uk/TA122)。 |
| *2: | 市販承認事項に準拠。 |
| *3: | アスピリン不耐は、NICE Technology Appraisal Guidance 90(閉塞性血管イベントの予防におけるクロピドグレルと徐放性ジピリダモール*6;www.nice.org.uk/TA90を参照)において次のいずれかとして定義されている: ・アスピリン含有薬に対して過敏症が証明されていること ・低用量アスピリンによって誘発される重度の消化不良の既往歴があること |
| *4: | 静脈血栓塞栓症のリスクが出血合併症のリスクを上回る患者群が存在することがある。特に静脈血栓塞栓症のリスクが高いとみなされる患者として、下肢の完全麻痺のある患者、静脈血栓塞栓症の既往歴のある患者、脱水または併存疾患(悪性疾患のような)のある患者、あるいは現喫煙者または最近まで喫煙していた者があげられる。そのような患者では、予防的抗凝固療法を受けている場合は、定期的に検診を行うこと。さらなる詳細については、近日発表のNICE臨床ガイドライン、全入院患者における静脈血栓塞栓症の予防(2009年9月に発表予定)に含められる予定である。 |
| *5: | 急性脳梗塞の患者における抗リン脂質抗体症候群を治療するための抗凝固薬と抗血小板薬の安全性および有効性に関する何らかの推奨を裏付ける証拠は不十分であった。 |
| *6: | ジピリダモール:アスピリンとの併用による脳梗塞再発予防は本邦での承認効能に含まれていない。 |
National Clinical guidelines for stroke 3rd edition 2008, Royal College of Physicians





