特別企画第31回 日本脳卒中学会ランチョンセミナー迅速な初期虚血病変評価に基づく急性期治療戦略CTとMRIの優劣とtr-PAとアスピリンの使い分け
急性期に対するrt-PA(遺伝子組み換え型組織プラスミノゲンアクチベータ)治療の導入は脳梗塞治療に大きな変化を与えつつある。とりわけ,超急性期に出血性脳血管障害を除外する必要があるため,画像診断は従来以上に迅速さと正確性を求められるようになった。本セミナーにおいて平野氏は,脳卒中急性期におけるCT評価の要点およびMRIの将来的有用性を示すとともに,その治療において既にエビデンスが確立されているアスピリンとrt-PAの使い分けについて解説した。
演者 |
CTを用いた初期虚血病変の迅速評価
Early CT signの定量化法として再現性に優れているのはASPECTS(Alberta Stroke Program Early CT Score)法である2)。ASPECTS法は図2に示される10領域におけるearly CT signの有無を判定し,数値化する方法であるが,これにより広範なearly CTsignを認める例では,残存脳血流値が低かった。
early CT signと血栓溶解療法
血管原性浮腫によるearly CT signには,局所充血(BS)とBBB破綻によるものの2種類があると考えられる。後者は再開通療法により脳出血・高度脳浮腫を来すため予後不良の所見と考えられる。一方,BSは側副血管の開大による局所脳血流量の増加を反映するもので,決して予後不良の所見ではないと報告され,梗塞を免れる可能性も示唆されている5)。われわれは検討の結果,BSは細胞傷害性浮腫を来す程度まで血流は低下しているが,血流低下時間がまだ短いため皮質の吸収値が低下していない状態ではないかと考えている。
脳卒中急性期におけるMRIの役割
一方,MRIの有用性を支持するコンセプトとしてdiffusion-perfusion mismatchの検出が挙げられる。Diffusion-perfusion mismatch領域は,機能的には障害されているがsalvage可能な脳灌流低下状態にある領域(ペナンブラ)を示すものと考えられる。Diffusion-perfusion mismatch領域がすべてペナンブラであれば,超急性期の血栓溶解療法の適応となりうるが,ペナンブラでない部位までmismatch領域として描出されるとの報告もあり6),ペナンブラ検出法としての検証は十分とはいえない。今後,MRIを用いてのペナンブラ検出によるtime window拡大の可能性が注目されており,世界で最もMRIが普及している日本こそ,この課題を解決する責務があると考える。
脳梗塞急性期における
rt-PAとアスピリンの位置づけ
よく知られている通り,この推奨の基となるエビデンスはCASTとISTの2試験である。それぞれ約20,000例を14ないし28日間追跡し,脳梗塞発症48時間以内のアスピリン服用の有用性を検討したもので,これらを複合解析した結果をみると7),「脳梗塞再発」や「脳卒中再発もしくは死亡」などがアスピリン群で有意に減少しており,脳出血については有意差は認められなかった(図3)。
抗血小板薬の最新エビデンス:CHARISMA
REFERENCES
1)LarrueVetal.Stroke1997;28:957-960
2)Pexman JH et al. AJNR Am J Neuroradiol. 2001;22:1534-1542
3)PatelSCetal.JAMA 2001;286:2830-2838,LydenP. Stroke2003;34:821-822
4)WardlawJMetal.Radiology2005;235:444-453
5)NaDGetal. Radiology2005;235:992-1048
6)Sobesky J et al. Stroke 2005;36:980-985
7)ChenZMetal.Stroke 2000;31:1240-1249
8)Deepak LB et al. N Engl J Med 2006;354:1706-1717
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