通常用量への切り替えはいつ行うのか
解説:橋本洋一郎 先生 熊本市立熊本市民病院神経内科部長


  よく知られているように、脳梗塞急性期におけるアスピリンの効果を証明したのは、ISTとCASTの 2 つの大規模臨床試験である。ISTでは、発症48時間以内の急性期患者19,435例をアスピリン300mg/日投与群と非投与群に無作為に割り付け、2 週間観察した。CASTでは、同じく発症48時間以内の20,655例に、アスピリン160mg/日またはプラセボを投与し、4 週間追跡した。そして、いずれの試験でも、アスピリンは有意なリスク減少効果を発揮したのである。
  これらの成績から、欧米や日本のガイドラインでは、発症48時間以内の脳梗塞急性期患者に対して160~300mg/日のアスピリン投与が推奨されている。一方、慢性期の二次予防に関して、日本では75~150mg/日が承認されている。すなわち、いずれかの時点で急性期の用量から100mg/日前後の維持用量に減量することが必要となる。しかし、このタイミングについては、世界的にもコンセンサスの得られていないのが現状である。
  私たちは、ISTおよびCASTの投与期間を踏まえ、第一病日より200mg/日を 2 週間投与し、その後100mg/日にて維持することを基準としてアスピリンを処方している。ただし、事前に依頼しているにもかかわらず、退院後の治療を担う実地医家で、維持用量への減量をためらうケースがある。専門病院の処方を変更することに、抵抗を感じているようだ。こうした点から現時点では、急性期用量は 2 週間を原則としつつ、退院を 1 つの目処とするのが、現実的な線引きではないかと考えている。