抗血小板薬療法を継続した場合、外来で抜歯可能な症例の基準はあるのか?


   原疾患が十分にコントロールされていれば、1本の普通抜歯、難抜歯、多数歯抜歯は、外来において抗血小板薬が継続されていても可能である1,2)。
「科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2010年版」では、外来での抜歯可能な症例について、以下のような記載がなされている。
推奨グレードB
医科主治医により、原疾患が十分にコントロールされていれば、外来において抗血小板薬継続下でも1本の普通抜歯、難抜歯、多数歯抜歯は可能である(エビデンスレベルⅡ)。埋伏智歯の抜歯も、適切な局所止血を行えば外来で可能である(エビデンスレベルⅣa)。
(科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2010年版p24)



外来におけるアスピリン服薬継続患者の抜歯
アスピリン75~100mg/日を継続して服薬していた32例、25例の服薬中断例、25例の健康人の3群での比較試験では、外来での抜歯後30分の圧迫止血を行うことにより、後出血はいずれの群でも認められなかったことが報告されている3)。また、アスピリン75~100mg/日を継続して服薬していた51例に対して口腔外科処置を行ったところ、術中出血は1例のみで認められたものの、術後出血は認められなかったことが示されている。この口腔外科処置の内訳には、1本の抜歯30例、多数歯抜歯6例、埋伏智歯の抜歯4例が含まれていた4)。
専門医療機関で実施した方がよい抜歯
術後の出血リスクが高く、また外科的ストレスが大きく原疾患に関わるような合併症を引き起こす懸念のある、埋伏智歯の抜歯や口腔内の複数のブロックに及ぶ多数歯抜歯に関しては、専門医療機関で実施することが望ましい。
バイアスピリン錠の「使用上の注意」
バイアスピリン錠の「使用上の注意」には、慎重投与の項に次の記載がある。 手術、心臓カテーテル検査又は抜歯前1週間以内の患者
〔手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させるおそれがある。〕

【参考文献】
  1. Ardekian, L et al:J Am Dent Assoc 2000;131:331-335.
  2. Brennan, MT et al:J Dent Res 2008;87:740-744
  3. Krishnan, B et al:J Oral Maxillofac Surg 2008;66:2063-2066.
  4. Madan, GA et al:J Oral Maxillofac Surg 2005;63:1262-1265.