抗血栓療法下での白内障手術は可能か
国立病院機構九州医療センター眼科医長 江内田寛先生


  現在通常の白内障手術については原則として抗血栓療法継続下で行っています。ただし、ワルファリンについてはPT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)が3以下にコントロールされていると思っても、併用薬などの作用で5を超えている場合があります。そこで手術前日または当日にPT-INRを測定し、適切にコントロールされていることを確認してから手術をするようにしています。また抗血小板薬については確認が不能ですので、そのまま継続下で実施しています。

  ただし、超音波手術装置が使用不能で、術中に大きな侵襲が予想される一部の白内障手術症例については、内科主治医と相談し可能であればヘパリン製剤に変更する場合もあります。

  過去の報告ではKatzらは2003年に約2万例の白内障手術症例を対象に検討を行っています。それによると、24.2%が抗血小板薬を、4%が抗凝固薬を服用していました。手術時に休薬したのはそれぞれ22.5%と28.3%。そして、抗血栓療法にかかわらず出血頻度は低く、継続群と休薬群に差はないと報告しています1)。

  私も同様の印象を持っています。白内障手術は技術革新により侵襲が小さくなっているので、駆逐性出血に限らず、出血リスクは抜歯や内視鏡検査に比べ、かなり低下していると言えるでしょう。

  ちなみに当センターでは年間約700-800例の眼科手術を行い、その6割弱が白内障手術、3割が網膜・硝子体手術、緑内障手術は1割弱です。

[参考文献]
1)Katz J. et al.: Ophthalmology. 2003 ; 110(9): 1784-1788

表.眼科手術における抗血栓薬の取り扱い(九州医療センター)