内視鏡時の抗血栓療法-ガイドラインはどのように推奨しているか
解説:玉井 佳子 先生 弘前大学医学部付属病院輸血部副部長
日本消化器内視鏡学会による消化器内視鏡ガイドライン第3版の要約を示す。
1.内視鏡治療時の抗凝固薬の休薬
内視鏡手技の危険度に関係なくワルファリンを3~4日間中止する。高危険手技の場合は、プロトロンビン時間(PT)を測定してINRが1.5以下であることを確認したほうがよい。原疾患の血栓塞栓の危険性が高い場合、ヘパリン置換を行う。ヘパリン投与中止6時間後に内視鏡治療を行う(図1)1)。
2.内視鏡治療時の抗血小板薬の休薬
アスピリンでは3日、チクロピジンでは5日、両者併用の場合は7日間の休薬が推奨されている(図1)1)。
私たちは、健康な男性11名にアスピリン、チクロピジン、両薬併用を1週間続け、出血量、出血時間、出血パターンを検討した。すると、どの薬でも総出血量は内服前の4~7倍に増え、内服前と有意差がなくなり出血傾向が消失するのは、アスピリンで休薬3日後、チクロピジンで5日後、併用時では7日後であった2)。これがガイドラインの抗血小板薬休薬期間の根拠となっている。
ポリープ切除や乳頭切開などの高危険手技を行う場合は上記休薬期間に準じ、高危険疾患症例に生検などの低危険手技を行う場合は、休薬期間はさらに短くてよい場合もある。
3.抗凝固薬、抗血小板薬の再開
いずれも、後出血の危険性がないことが確認でき次第、早急に再開する(図2)1)。ただし、抗凝固薬の休薬で、内視鏡治療後INRが1.5以下になる時間が長い場合は、一定時間ヘパリンを使用してINRが原疾患の治療域に近づくのを待つ。
日本のガイドラインは米国のガイドラインを基にしているが、日本人の「出血しやすい」という特性を考慮してINR値を欧米より低値に設定するなど、より厳しい基準を設けている。
【参考文献】
1)Gastroentel Endosc.,47: 2691-2695,2005
2)J Gastroenterol 40:698-707, 2005


Medical Tribune 2008年7月10日号より一部改変