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抗血栓療法Q&A

アスピリン(NSAID)不耐症とは何か
解説:橋本洋一郎 先生 熊本市立熊本市民病院神経内科部長

 アスピリン不耐症とは、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)服薬後数十分~ 3 時間以内に現れる過敏症状のことである。喘息発作(いわゆるアスピリン喘息)または鼻炎を呈する気道型と、蕁麻疹ときに血管浮腫を生じる皮膚型に大別される。気道型では慢性副鼻腔炎や鼻茸の合併、嗅覚低下を示す例が多く、皮膚型は慢性蕁麻疹患者でよく見られる。

 発症頻度については、日本での正確なデータはない。Settipaneによると、成人の0.30%、子供の0.32%に認められるという。喘息患者におけるアスピリン喘息の比率は、厚生省成人気管支喘息研究班のアンケートで7.7%と報告されている。

 この点から、喘息を有する急性期脳梗塞患者にアスピリンを用いる場合には、可能な限り、かぜ薬等による喘息既往の問診を行わねばならない。また、服用後の患者状態を注意深く観察し、本症が懸念される場合には、他の抗血小板薬への切り替えを考慮する。ちなみに当院では、年間およそ200例の急性期脳梗塞患者にアスピリンを処方しているが、問診をきちんと行えば問題となるようなことはまずない。

 発症機序に関しては、NSAIDのシクロオキシゲナーゼ(COX)-1阻害作用により、アラキドン酸カスケードがリポキシゲナーゼ系にシフトし、強力な気管支平滑筋収縮作用や血管透過性亢進作用、鼻汁分泌作用を持つシスティニルロイコトリエン(LTC4、LTD4、LTE4)が増加することで症状が発現するとされている。すなわち本症は、COX-1阻害作用を持つNSAID全般に対する過敏症状なのである。アスピリンに対する特異的アレルギーとの誤解を生みやすい「アスピリン不耐症」は不適切で、「NSAID不耐症」と呼ぶべきであろう。


Medical Tribune 2006年3月23日号「脳を救う医師たちの闘い 脳梗塞急性期治療の最前線」より転載

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